| sugitaru • PM |
Sep 14, 2013 12:45 AM
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sugitaru
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とにかく、作歌が貴紳の嗜みとなったのであるから、同時にそれは芸道となりきったのである。芸術と芸道との相違はしばしば日本の芸術に関して述べられるところであるが、芸道ということについて、これまで人は余りに高く評価しすぎており、何か神秘的な意味を感じていたようである。しかし実は芸道を口にする時代の生活には、またはそれを口にする人々の間には、その時代の芸術を創造する力は失われておるのである。右の点は厳に注意されねばならぬところである。ただ一般にいって、すでに完成された芸術作品を専ら鑑賞する側に立つ大衆からいえば、定評あるものを愉しむのが早道でもあるし、また自然そうするのほかない事情もあるだろうから、純粋にそれを愉しむという態度を持つ人には、自ずと芸道的色彩、つまりその嗜みによって生活の感じを統一し、一種の風格をつくるというような傾向が出るのも当然であろうが、創作する人間が、自分の芸術は数寄であるといい出すときには、彼はその時代の創作家としては落伍したものといわれても仕方がないのである。もし彼がなお詩人であると主張するならば、その「詩」は、その時代の現実の生活に結びついた情緒とは別の地盤の上にある「詩」にほかならないのであろう。
蒲田 歯科 http://a.viewst.jp/ringen/ |