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過ぎたるは猶及ばざるが如し 1 MEMBER:
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Forum Home > General Discussion > 前川氏は
sugitaruPM
#1
前川氏は
Jan 02, 2014 12:33 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
 前川氏は、物分りのよさそうな人だから、新子を訪ねて行ってもおかしくないだろうし、初めての軽井沢を、新子に案内してもらって歩いたら、どんなに楽しいだろうと思ったりした。
 そんなことを考えていると、つい新子と相対坐しているような楽しい気持になった途端、彼はマザマザと新子の肉声を、耳にしたような気がした。
「ご免下さい!」
 二度目に、ハッキリと下から聞えた声は、ソックリ新子の声だった。(急に軽井沢から帰って来たのかな)そう思って、胸をとどろかして、階段の口まで出た。
「ご免下さいまし!」
 いよいよ新子のような声が、玄関から、あきらかに、ひびき上って来た。



 思いがけない――全く思いがけなく、それは美和子だった。
 新子ならば、――彼は瞬間新子が来たと感じてしまったので――物をも云わず手を取って、二階へ抱き上げてしまおうと思い、激しい情熱が顔一杯に露出になっていたので、――意外にも洋装の美和子の姿が、ヒョッコリ三和土の上に微笑むと、彼は表情のやり場に困って、顔や心を冷静に引きもどすために、しばし黙っているよりほかに、方法がなかった。
「何を、びっくりしていらっしゃるの?」美和子も、てれくさそうに、しかし、すぐと散る花片のように、表情を崩しながら、彼を見上げた。
「お上り! 一人?」彼は、まだ妹の背後から、玄関へはいる新子を想像していた。
「上ってもいいの?」
「だって、遊びに来たんでしょう。」ようよういつもの自分に返ることが出来た。自動車保険 ランキング