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Forum Home > General Discussion > その前に、かういふ議論について
sugitaruPM
#1
その前に、かういふ議論について
Jan 30, 2014 10:34 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
 その前に、かういふ議論について、一と通り考へて見ませう。それは、演劇は他の芸術と同じく一人の人間が一つの頭から創り出すべき芸術であつて、作者は同時に舞台監督であり俳優でなければならない。これがために、舞台の上の俳優は作者、即ち舞台監督の操縦によつて、その人物の生活のみを生活する「超人形」でなければならない。
 これは誠に傾聴すべき議論であります。然し、傑れた劇作家が、同時に俳優としての優れた素質を恵まれてゐるといふことは、頗る稀であります。稀であれば稀であつて、一向差支へないと云ふかも知れない。傑れた作者、傑れた俳優さへ、そんなにざらにはないのだと云ふかも知れません。かうなると、あくまでも理想論になりますが、実際、作者と俳優とは別々のものであつてもかまはないではありませんか。要はたゞ、両者が一体になるといふことで十分なのです。舞台監督でもさうです。作者が必ずしも舞台監督である必要はない。たゞ、舞台監督が作者の意図を完全に理解すればいゝのです。それが困難だといへばそれまで、そこは、もう程度の問題になります。
 舞台監督は、前に述べたやうに、作品の精神を尊重すると同時に、俳優の独創力を或る程度まで尊重しなくてはなりません。俳優を「超人形」にしてしまふことは、在来の脚本を上演する時には、考へものである。それならば、さういふ戯曲――と云つてわるければ――台本を、新しく作るより外はない。固より、此の論者の理想もそこにあるのです。福岡 歯科