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過ぎたるは猶及ばざるが如し 1 MEMBER:
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Forum Home > General Discussion >  舞台監督の権限が
sugitaruPM
#1
 舞台監督の権限が
Jan 30, 2014 10:36 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
 舞台監督の権限が過大視された余弊は、俳優の技芸練磨に、殊に頭脳の啓発に甚だしい障碍を与へた。これは、当然の帰結と云ふ訳にはいかないでせうが、常に陥り易きことであります。舞台監督は、その職分から云へば俳優を指導、教育すべきものではないのであります。従つて、俳優を生徒扱ひにすべきものではないのであります。俳優の中には、舞台監督と同等の芸術的見識をもち、時に、それ以上の学識才能を備へてゐるものがあつても、ちつとも、かまはないのであります。俳優の技芸について、舞台監督が喙を容れ得る場合は、単に、それが舞台全体の調和を乱すと思惟した場合に限るので、脚本の精神に合してゐるかゐないかについては、二人の意見は異り得るのであります。その場合、俳優は必ず舞台監督の意見に従はなければならないか、これは、もう相互の信頼程度によるもので、これを一概に定めてしまふことは危険を伴ふものであります。
 この機微な問題を解決するために舞台監督は、一座の首脳たる俳優で、その芸術的才能及び経験に於て、殊にその徳望に於て、他の俳優の畏敬する人物であることが最も便利なのであります。さもなければ、作者が舞台稽古に立ち会つて、舞台監督と俳優との異つた見解に判決を下すのがよろしい。俳優としての経験を実際に有つてゐない舞台監督が、その空虚な美学的理論乃至純客観的批判者の立場から、俳優の技芸を矯正することは、俳優の芸術、殊に演劇そのものに対する一種の冒涜であるとさへ云へます。 経堂 歯医者