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過ぎたるは猶及ばざるが如し 1 MEMBER:
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Forum Home > General Discussion > 「加寿子はどうだ?」
sugitaruPM
#1
「加寿子はどうだ?」
Feb 12, 2014 10:04 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186

「加寿子はどうだ?」
 彼は促した。
「でも、やつぱり、お母さんて呼ぶの?」
「さう呼べるひとがいいぢやないか」
「結城さんぢやないんでせう?」
 この逆襲を、彼は待ち構へてゐたやうに、
「さうぢやない。それははつきりいつとく」
「そんなら、どうでもお父さまのいいやうに……あたしはいいわ」



「あたしは、いいわ」
 と、いつてしまふと加寿子は激しく瞬きをした。涙がぼろぼろとこぼれた。
 それをみて、田丸は「しまつた」と思ふ途端、横から世津子が、いきなり、思ひ余つたやうな声で、
「あたしは、いや」
 と、実に、キツパリ、が、少しヒステリカルな調子で叫んだ。
「お前にはまだ訊いてゐないぞ」
 と、田丸は喉まで出かかつた言葉を、ぐつと呑み込んで、今度は、その方へ向き直つた。
「どうしていやなんだ?」
 努めて、やはらかく言葉をかけた。
「どうしてでも、いや」
「どうしてでもいや……ふむ、ほんとのお母さん以外のひとを、お母さんと呼ぶのはいやなんだね」
「お母さんみたいにされるのがいや」 新宿 美容室