| sugitaru • PM |
Dec 30, 2013 11:07 PM
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sugitaru
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越前一の強力といわれる氏長が力をこめて抜こうとしても抜けないのである。氏長は、おめおめとこの女について行く外はなかった。家に着くと、女は水桶をおろしてきて氏長の手をはずして、笑いながら、「どうしてこんな事をなさるのです。あなたは一体どこの方ですか」という、近く寄って見ると、いよいよ美しい。
「いや、自分は越前の者であるが、今度相撲の節会で召されて参るものである」というと、女はうなずいて「それは危いことである。王城の地はひろいからどんな大力の人がいるかもしれない。あなたも、至極の甲斐性なしと云うわけではないが、そんな大事の場所へ行ける器量ではない。こうしてお目にかかるのも、御縁だからもし時間がゆるせば、私の家に三七日逗留したらどうか。その間に、あなたをきたえて上げましょう」と、いうた。 三七日とは、三七二十一日である。その位の日数は、余裕はあったので、氏長はこの家に逗留することにした。 足立区 北区 家庭教師 |