| sugitaru • PM |
Feb 16, 2014 9:45 PM
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sugitaru
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この月の隣組常会が楯家の応接室で開かれた。 田丸浩平は、ひと通り話がすんだ頃、突然、この前の組長楠本速男がさうしたやうに、辞任を申出た。 「今度手伝のものを帰して、しばらく子供たちに家のことをやらせてみようと思ひますので……」 理由はただそれだけであつた。 みな、これには反対のしやうがなかつた。 しかし、この隣組の十一世帯は、その後それぞれに変動があつた。 楯家では、細君が下の男の子二人を連れて先月から地方の実家へ納まり、留守は主人と長男、長女夫婦、次女の五人となり、女中は農繁期だけといふ約束で田舎へ手伝ひに帰つてゐる。長男の雅一は陸軍特別幹部候補生の試験を受け、婚約のある長女は手頃な借家があるまで式をのばしてゐたのを、たうとう探しあぐねて新郎ともども同居といふことになつたのである。 陣内家は主人の徴用が切れて新たに就職の奔走をしてゐる矢先、親戚一家四人が強制疎開の区域から臨時にころがり込んで来てゐる。 八谷家に下宿してゐた国民学校の訓導は、この六月応召。 萱野家の養子常夫は、徴用でしばらく工場へ通勤中、肋膜発病、目下入院加療中。 楠本速男が報道斑員として南方第一線へ赴いたのは半年前である。留守宅では細君がこの五月に第三男子安産。熊本ヘルス 熊本DEマットっ</a>xn--luqr28cqkhry4b |