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Forum Home > General Discussion > 星住省吾は、専務理事として
sugitaruPM
#1
星住省吾は、専務理事として
Mar 13, 2014 7:16 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
 星住省吾は、専務理事として、最後の手を打つことを提議した。一頭残らず、今のうちに毛皮にして、上海の市場へ売り込むといふことであつた。
「種狐はとつておかんでもいゝかね?」
 常務の細川が、諦めきれぬやうな顔つきで口を挟んだ。
「とつておきたい方はとつておかれたらいゝでせう。しかし、それさへ、飼料はきつと続かなくなりますよ。野兎だつて、人間が探し廻りますからね」
 それはその通りであつた。飼犬も撲殺しろといふ、どこからともない布令がまはつて来た。
 七軒の養狐場は、一斉に、門を閉めた。
 星住省吾は、妻の品子の反対を押し切つて、いく番ひかの種狐だけ、もうしばらく、飼ひつゞける決心をした。これなら、誰の手をかりる必要もない。飼料としては、山羊の牡を相当の値で買ひ入れることにした。
 さて、狐はつぎつぎに、殺され、皮を剥がれた。まだ乳をはなれたばかりの仔狐は無惨であつた。
「旦那、こいつもやるのかね」
 番人兼下男の為木音也は、まだ疑ひを知らぬ無心の仔狐にだけは愛情をもつてゐた。
「やるさ。毛皮はものにならんが、口を減らすのが目的さ」
「いくらも食はんでなあ」 蕨 歯医者