Vultr.com - Instant Cloud Server Deployment
過ぎたるは猶及ばざるが如し 1 MEMBER:
Home
Forum
News
Share on Facebook
Share on Twitter
Share on Google+
Forum Home > General Discussion > 為木音也は四国の生れである
sugitaruPM
#1
為木音也は四国の生れである
Mar 13, 2014 7:19 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
 為木音也は四国の生れである。貧農の家に育ち、小学を終へるとすぐに丁稚奉公に出された。高松のペンキ屋で五年の年季をすますと、人にすゝめられて神戸へ渡つた。塗料会社といへば大きいやうだが、職人はたつた三人で、彼は昼夜をわかたずこき使はれ、そして、二年足らずで首になつた。親方の仕事にケチをつけたといふ理由であつた。彼は、当てもなく大阪をさ迷ひ歩き、やつと洗ひ屋の下仕事の口を見つけたと思つたら、そこでは、能率があがらぬと言つて、賃金を人の半分しかくれず、彼は業を煮やしてそこを飛げ出し、世話するものがあつて、ある法華寺の寺男に住み込んだ。これはかなり長続きしたのだが、戦争で徴用になり、どういふはずみか、あちこちの軍事工場へ転々と引き廻され、処もあらうに、上州の山の中の、焼け石とスヽキの原のまんなかで、労務に適せずといふ軍医の証明をもらつて、やつと自由なからだになつた。
 大阪で寺男をしてゐる頃、住職の肝入りで、血色のよくない銭湯の出もどり娘と祝言をあげた。期待は小さかつたが、得るところは大きかつた。しつかりした、よく気のつく女房で、裁縫が得手であつた。子供が五年の間に六人でき、そのうち二人は、幸か不幸か育たなかつた。 中野区 歯科