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過ぎたるは猶及ばざるが如し 1 MEMBER:
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Forum Home > General Discussion > 珈琲の最後の一口
sugitaruPM
#1
珈琲の最後の一口
Apr 05, 2014 11:39 AM
sugitaru Founder - Joined: Jul 28, 2013
Posts: 186
ステラ  さう?(かう云つて、珈琲の最後の一口を飲み干す)
アマノ  僕は、自分が日本人であることに、それほど注意してゐない。それだけ、人が何処人だといふことにも、あんまり興味がないんです。

われわれは、それほど、かけ離れた生活はしてゐないと思ひます。

ステラ  それやさうね。(席を立ち、長椅子に投げかかる)それやさうだわ。

沈黙

アマノ  奥さん、たうとうお別れしなければなりませんね。
ステラ  (言葉を用意してゐたやうに)一生の御別れかも知れないわね。
エリザ  お二人とも、また春になつたら、ここへいらつしやるんでせう。

いつか、さうおつしやつたわ。

ステラ  (笑ひながら)あたしは、あなたにさう云つたのよ。
アマノ  僕はどうだつたかなあ……。

何れにしても、一生の別れ……さういふ気がしますね。
わるい気持ぢやないな……お互にさうなら……。

ステラ  (半ば微笑を以て)ほんと……。
アマノ  旅をする人間の心持ちは、変なものですね。

友情に対しては、恐ろしいほど敏感になる……
そのくせ、情熱の前には、可笑しいくらゐ臆病です。
さうお思ひになりませんか。

ステラ  さあ……情熱つて……。
アマノ  ええ……。

僕は今日、つくづくさう思ひました。

ステラ  (耳を澄まして)エリザさん、聞えない……窓……。
エリザ  (急いで、一方の窓に馳せ寄り、カーテンを細目にあけ)どこ……。
アマノ  (面白がつて)こつちだ。
エリザ  (もう一方の窓に行き)うそ……。
ステラ  (笑ひながら)やつぱり、こつちよ、そら……。
エリザ  (そつちへ行き、今度は思ひ切つて窓を開け)
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